2016/10/17 (Mon)
つづきです。
質問の中で
視覚障害のある方や
聴覚障害のあるお子さんを
育てている方の
生の声を
紹介させて
いただきました。
・・・・・・・・・・
〇議長(田中 守議員) 16番、秋山もえ議員。
〇16番(秋山もえ議員) 小敷谷にお住まいの視覚障害の方からお話を伺いました。私は、病気のため視力を失い、仕事を失ってから精神も患いました。妻には申しわけないけれども、常にそばにいてもらっています。どこかに出かける、あるいは病院に行くにも移動支援を行うガイドヘルパーは利用料が高く、とても利用できません。点字ブロックは読めるようになりましたが、点字は読めません。点字ブロックの上に自転車が置かれていたり、人がいることがあります。後ろから自転車がぶつかってきて、思い切り転んだこともあります。信号は勘で歩いています。とても怖いです。電車のホームも、電車の中も怖いです。満員電車では白杖が見えないため、目が見えないことが分かってもらえません。体が大きく揺れたとき、誰かに捕まってしまい、肘で強くつつかれたこともあります。視覚障害者の場合、歩数を数えながら歩いている場合が多く、話しかけられると困ることもあります。道を聞いたとき、あっち、こっちでは分からないので、視覚障害者に独特ですが、時計の針で何時の方向ですというように教えてもらわないと分かりません。
私は彼の話を伺って、改めてあいサポートの先ほどのテキストを読んでみました。彼が話してくれたことを含め、視覚障害者の特徴と配慮が書かれていました。いろいろな障害について知ることは、それだけでも意識が変わり、行動も変わるように思います。駅にはなかなかホームドアが設置されない、音の出る信号機の設置も依然として少ないです。ハード面での改善を粘り強く進めながら、人の意識を変えていく取り組みが同時に必要となります。
駅で白杖を持った人へ注意を向け、ホームに落ちないように見守り、手をかす人が増える、一緒に信号機を渡ってくれる人が増える、点字ブロックの上に障害物を置かない人が増える、そんな社会をつくるのがあいサポート運動です。ぜひ一度上尾市からも、担当課の職員にはこの富士見市のあいサポート研修を受講していただき、上尾市でもあいサポート運動に取り組んでくださるよう要望いたします。
平成26年3月の議会で、私は手話言語条例の制定について質問をしました。まだこのときは、条例を制定している自治体は少なく、4自治体でした。しかし、ことしの8月31日現在では、全国52自治体まで広がっています。埼玉県においても、ことしの3月の議会で埼玉県手話言語条例が提案され、全会一致で可決、成立をいたしました。また、全国の聴覚障害者団体で構成する全国ろうあ連盟の要望を踏まえ、ことしの7月21日に手話を広める知事の会が発足をしました。今後知事の会が連携をし、障害の有無にかかわらず誰もが手話を理解できるような取り組みを全国的に進めるとともに、手話による情報提供を義務付ける手話言語法を2020年までに制定するよう国に働きかけることを総会で確認しました。
聴覚障害のある方たちの粘り強い運動により、政治が少しずつ変わり始めています。埼玉県手話言語条例の中には、市町村と連携をして、手話を使いやすい環境の整備、手話を学ぶ機会の確保に努める市町村との連携の協力が明記をされています。
そこで伺います。埼玉県において手話言語条例が制定されたことを受け、この上尾市においてはどのようなことを取り組むのか、県と連携をして、市として取り組む施策はあるのかお答えをください。
〇議長(田中 守議員) 本橋健康福祉部長。
〇健康福祉部長(本橋宜臣) 県といたしましては、できることから少しずつ実施し、市町村と連携を図りながら推進していくとの意向ですが、今年度は市町村との連携をして行える事業はないとのことでした。市といたしましても、今後県と連携し、進めてまいりたいと考えております。
〇議長(田中 守議員) 16番、秋山もえ議員。
〇16番(秋山もえ議員) では、埼玉県の独自の今後の取り組みについて伺います。
〇議長(田中 守議員) 本橋健康福祉部長。
〇健康福祉部長(本橋宜臣) 埼玉県に確認しましたところ、今年度につきましては障害者週間に合わせ、毎年開催しております県民のつどいにおきまして手話パフォーマンスなどを予定しているとのことでした。また、来年度につきましては、現在検討中とのことでございます。
〇議長(田中 守議員) 16番、秋山もえ議員。
〇16番(秋山もえ議員) 全てはこれからだということが分かりました。あいサポート運動にも取り組んでいる富士見市は、昨年12月に手話言語条例制定をしました。年度末に近かったため、条例を生かした予算要望が間に合わなかったと伺いました。来年度からどんなことに力を入れていくのですかと伺ったところ、3つあると言っていました。1つ目は、専任の手話通訳者を増やすこと。今富士見市は、選任の手話通訳者は1人だということで、今後3人から4人の体制を目指したいということです。せっかく手話を学んできた子育て中の若い手話通訳者が週5日勤務は無理だからと生活のために違う仕事についてしまう。せっかく身についた技術が落ちてしまう。こういうことがないように、週3日のパートでもいいから専任として働いてもらいたいと言っていました。そして、2つ目は手話の初歩の初歩が学べる四、五回程度の短い講座を新しく始めたいということです。そして、3つ目は今現在、県に依頼するしかない要約筆記者を富士見市としても養成をしていきたいとのことでした。とても積極的です。やはり手話言語条例制定の後押しは大きいことを私は実感しました。
上尾市においても、聴覚障害のある方たちとともに話し合い、ぜひ手話言語条例の制定に向けて動き始めていただきたいです。手話言語条例の制定の必要性について、市の見解を伺います。
〇議長(田中 守議員) 本橋健康福祉部長。
〇健康福祉部長(本橋宜臣) 条例制定の必要性は認識しております。制定により、市として具体的にどのような施策が実現できるのか、ろう者の方々の意見を聞き、先進事例も参考にしながら検討を進めてまいりたいと考えております。
〇議長(田中 守議員) 16番、秋山もえ議員。
〇16番(秋山もえ議員) 条例制定の必要性は認識しているというご答弁でした。では、聴覚障害のある方たちとの話し合いについて、いつから始めるのか伺います。
〇議長(田中 守議員) 本橋健康福祉部長。
〇健康福祉部長(本橋宜臣) 毎年実施されています聴覚障害者協会と市の懇談会や、手話通訳者派遣事業運営委員会の中で既に条例についての要望は伺っているところですが、10月以降に開催を予定しております運営委員会において、さらにろう者の方々の意見を聞きたいと考えております。
〇議長(田中 守議員) 16番、秋山もえ議員。
〇16番(秋山もえ議員) 10月以降に意見を聞きたいというご答弁でした。絵に描いた餅になっては困りますから、具体的な施策について、ぜひとも意見や要望をしっかりと聞いていただき、手話言語条例の制定がこの上尾市でも早期に実現するよう強く要望いたします。
次に、専任手話通訳士のことについて幾つか質問を行います。専任手話通訳者の体制、業務内容について伺います。
〇議長(田中 守議員) 本橋健康福祉部長。
〇健康福祉部長(本橋宜臣) 手話通訳者派遣事業の実施を上尾市社会福祉協議会に委託しており、常勤職員である専任手話通訳者は2名体制となっております。上尾市社会福祉協議会に登録されております手話通訳者の派遣調整が主な業務ですが、高度な技術が必要と判断される内容のものは、専任自身が依頼先へ出向いて対応をしております。月平均延べ140名の通訳者が派遣されており、そのうち登録による対応は7割、また専任による対応は3割となっております。専任には、通常の通訳業務のほか、聴覚障害者からの相談に応じて、関係機関や市のケースワーカーへの仲介も行っており、月40件程度の依頼がございます。このほか本人にかわり、病院への電話予約や宅配便の不在票に対する連絡など、丁寧で細かい対応が求められる業務を行っております。
〇議長(田中 守議員) 16番、秋山もえ議員。
〇16番(秋山もえ議員) 手話通訳者の派遣内容のこの間の特徴について伺います。
〇議長(田中 守議員) 本橋健康福祉部長。
〇健康福祉部長(本橋宜臣) 近年の傾向といたしましては、医療機関への受診などに関する派遣が最も多く、今年度も全体の60%を超えているところです。聴覚障害者についても高齢化が進行しており、定期通院が多くなっていることが件数増加の大きな要因となっていることだと考えております。
〇議長(田中 守議員) 16番、秋山もえ議員。
〇16番(秋山もえ議員) では、専任手話通訳者の2名体制は、今言われたような業務たくさんありますが、聴覚障害のある方たちが求めていることに十分応えられる体制となっているのかお答えください。
〇議長(田中 守議員) 本橋健康福祉部長。
〇健康福祉部長(本橋宜臣) 現在手話通訳者の方が、手話の通訳が多くなっておりますので、休暇もとれないような状況でございます。
〇議長(田中 守議員) 16番、秋山もえ議員。
〇16番(秋山もえ議員) 非常に業務内容、大変な仕事を何とか今2名の体制で乗り越えているということが、お話を聞いていてうかがえました。これでは、私は専任手話通訳者の方がいつ体調を崩してもおかしくないというふうに思います。手話通訳者は、聴覚障害のある方たちにとってなくてはならない存在です。専任手話通訳者の健康を考えても、また求められる仕事を速やかに行えるようにするためにも、専任手話通訳者の増員が求められております。専任手話通訳者を今後増やしていく必要があるというふうに私は考えますが、市の見解を伺います。
〇議長(田中 守議員) 本橋健康福祉部長。
〇健康福祉部長(本橋宜臣) 専任の人員につきましては、社会福祉協議会全体の職員配置やジョブローテーションの問題など、社会福祉協議会に確認をとりながら、再度課題を洗い出し、検討したいと考えております。
〇議長(田中 守議員) 16番、秋山もえ議員。
〇16番(秋山もえ議員) ことしの7月の5日、聴覚障害者協会の役員や会員の方たちと市との懇談会が行われました。専任手話通訳者を3人体制にしてほしい、パート採用も視野に入れて検討してほしいという要望に対する市の回答はこうでした。障害福祉課では、昨年度も財政課へ専任の増員を要望しました。しかしながら、市では職員増員について全庁的に大変厳しい状況にあります。こういう回答だったのです。専任手話通訳者の1名の増員は、聴覚障害者に対する持続的なサポートを可能にするための合理的配慮そのものではないでしょうか。ぜひパートでの採用も含め、緊急の問題として、専任手話通訳者の増員を図るよう、これについては市長に強く要望いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
次に、手話講習会のことについて質問を行います。私は、今手話講習会の入門を受講しています。手話は、本当に難しいけれども、毎回毎回楽しみにしています。市で実施をしている手話講習会の年間のスケジュール、受講者数と年齢構成についてお答えください。
〇議長(田中 守議員) 本橋健康福祉部長。
〇健康福祉部長(本橋宜臣) 今年度は、入門編が6月から11月までの全21日、基本編が5月から11月まで全25回、手話通訳者養成講習会通訳Ⅱ課程が5月から来年1月まで全35回となっております。なお、養成講習会につきましては、Ⅰ課程とⅡ課程に分かれておりまして、それぞれ隔年の開催となっております。
次に、平成27年度の受講生の実績につきましては、入門編が25名で、20代の方が4名、30代の方は5名、40代の方は6名、50代の方5名、60代以上5名でした。基礎編につきましては13名で、30代の方が1名、40代の方が3名、60代の方が9名でございました。また、手話通訳者養成講習会Ⅰ課程は4名で、20代の方が1名、40代の方が2名、50代の方が1名でございました。
〇議長(田中 守議員) 16番、秋山もえ議員。
〇16番(秋山もえ議員) 入門編、基礎編、手話通訳者養成講習会、この3つの講習会の中で、30代以下の若い世代は数えると11名です。全体の26%と非常に少ないことが分かりました。手話通訳者については、年に1人ずつしか増えていないということで、手話通訳者の養成も急務であるということがうかがえました。
私のママ友達のAさんから伺ったことを紹介します。彼女には、聴覚障害のある4歳の子どもがおります。未熟児で生まれ、生後1カ月のとき、この子は耳が聞こえませんと医師に告げられました。緊急で目の手術をしたり、のどがやわらかいため、時々詰まって呼吸がとまることがあるなど、次々といろいろなことが起きたということです。県立小児医療センターの耳鼻科では、補聴器が必要なのでつくりましょう、手帳がないと1割負担にならないので、手帳をつくってくださいと言われ、何が何だか話が理解できないまま、ついていけない状況だったということです。
今このお子さんは、大宮ろう学校の幼稚部に通園をしています。通園する前に、週2回幼稚部の早期乳幼児教育相談に通っていたそうです。そこで先生から、聞こえなくても何も諦めることはありません。ただし、1つだけ諦めてください。聞こえることは諦めてくださいと言われ、やっとうちの子は聞こえなくてもいいと思えたと言います。お子さんの障害を前向きに受け入れることができた後、手話を習いたいと思い始め、彼女はどこで手話が教えてもらえるだろうかと調べたそうです。下の子を預かってもらわないと手話講座に行けないために、残念ながら上尾市社協の手話講座は諦めたということです。今は、幼稚部の聴覚障害のあるママたちから手話を教えてもらっていると話してくれました。
富士見市の社協では、4年ほど前から全ての手話講座に保育を設けています。若い世代が学べる環境がない、それを変えていかないといけない、以前から考えていたようです。あるときお子さんを実家に預けて手話講座に通っていた受講生が、実家に子どもを預けることができなくなって、受講を諦めざるを得なくなるという事態が起きたそうです。このことをきっかけに保育を実施するようになったとのことです。保育を始めてからは、若い世代の受講者が増え、手話サークルにも若い人が入ってきていると伺いました。ちなみに、この保育は、この手話講習会の講師のお子さんも利用しているということです。毎年保育を利用した方にアンケートを行い、もしも保育がなかったら、あなたはどうしましたかという質問をしているそうです。受講は諦めていたと思うという多くの声に、改めて保育の重要性について、社協も市も認識を深めているということでした。
ちなみに、保育は大抵各講座平均1人か2人で、夏休みになると3人から4人に増えるそうです。そして、保育利用がなく、残った予算についてはもちろん市に返すこととし、保育が増えた場合は予算をしっかり計上してもらっているということでした。ぜひ上尾市においても各講座に保育を実施してくださるよう強く要望いたします。障害への理解が広がって、誰もが暮らしやすい共生社会が実現することを願い、次の質問に移ります。