おとなの責任

「お母さん
いまどこにいるの？」

「うんとね
まだ会議中だよ
もうすぐ帰れるよ」


私の帰宅が
夜遅い日は
きまって
息子から電話があって
こんな会話をかわす。


「かえちゃん
寝ててね。
明日も早いから」


「うーん。
でもお母さんがいないと
しっくりこないんだよ」


帰宅すると
かならず
ハグをして
ほっぺをくっつけて
愛の確かめ合いをする。


ふとんの上で
いっしょに
ごろごろ
ころがる。


ほんとうに
私も癒されて
仕事の疲れも
いろんな悩みも
ふっと
やわらぐ。


きっと
かえちゃんも
学校で
ものすごく
がんばってるんだね。


一見
クールに見える
息子だけれど
いろんなことを
深く深く考えて
もっと
かっこよくなりたい
強くなりたい
すごくなりたい
自分でいいと思える
自分になりたい
という感じが
ふと
見える時がある。


人は
自分のなかに
無限に自分を
大きくしていける
可能性の芽を
きちんと
もってるのだ
ということを
息子が
教えてくれる。


だれもが
萌芽のときを
夢見て
生きてる。


いまの学校は
いろいろな
問題や課題を
抱えているから
そこで過ごしている
子どもたちの
ストレスは
はかり知れない。


テスト競争で
ふるいにかける。


テストができないと
強い劣等感が
植えつけられて
ますます勉強が
いやになるんじゃ
ないだろうか。


テストができても
早く答えを出すことを
求められて
深くかんがえることを
さけるように
なってしまうんじゃ
ないだろうか。


この世の中には
答えが出ていないこと
新しく創造したり
発見したり
答えを見つけていく問題が
いっぱいなのに。


教育にたいして
政治がやたら
口を出す傾向が
強くなっている。


先生たちは
上からの
数値目標達成の指示に
気持ちをもっていかれて
子どもよりも
上の顔色を
うかがうような状況に
なっていないだろうか。


「いじめ」の問題も
そう。


いじめを半減に
という数値目標ばかりが
フライングして
いじめをないことに
しようとする意識が
強くなってしまうのでは
ないだろうか。


社会全体が
弱肉強食の空気。


立場の弱い人たちを
攻撃する空気感がある。


自分の力で
がんばれ。


失敗したら
自分の責任だ。


ほんとうに
どうかしている
日本社会は。


大人も子どもも
こんな空気感のなかで
大きなストレスを
抱えている。


かえちゃんと
ハグしながら
いつも思う。


せめて家だけは
この空気感を
もちこみたくない。


だらっと
できる場所に
していたい。


ほっとできる
ところに
していたい。


愛の巣で
エネルギーを充電して
また
おもいっきり
いこうね。


この
社会の空気を
すぐにでも
変えなくっちゃね。


いまを生きる
おとなの責任だわ。