2016/12/25 (Sun)
給料のほぼ全額を差し押さえられた
Kさんの相談を取り上げ
市が行っている
行き過ぎた差し押さえの問題について質しました。
質問で明らかとなったことは
●この5年間で給与の差し押さえ件数が8倍になっていること。その理由を市は「積極的な催告等を行ったため」としており、短期間に効率的に催告を行い早期に差し押さえられる例が増えていると考えられる。
●給与が預金口座に入ったその日に、ほぼ全額差し押さえられたKさん。市は、平成10年2月10日の最高裁判決を根拠に、銀行口座に振り込まれた給与は預金として扱われるから差し押さえは可能だと答弁。しかし、平成25年の鳥取県児童手当差し押さえ事件の判決では、平成10年の判決を明確に否定しており、一部差し押さえ禁止財産である給与についても預金口座に入った際の差し押さえは違法性が高い。
●差し押さえられ、すっかり預貯金が無くなり生活が困窮した市民への、貸し付けを含めた市の支援は皆無だということ。
埼玉県は税の収納率アップを自治体間で競わせ
表彰まで行っています。
しかし
一番大切なことは
収納率をアップさせることでは
ないはずです。
市民生活を支える自治体職員として
市民一人ひとりに寄り添い
丁寧に相談にのり
差し押さえをする場合でも
その後の支援策について
職員が熟達し
市民が差し押さえにより
路頭に迷うことが無いように
アドバイスできる力こそ
求められています。
以下
議事録です。
次の質問に移ります。滞納者への行き過ぎた差し押さえについてです。先日、私に相談の電話が市民の方からありました。市から給与を差し押さえられた。しかも、22万円の給与のうち21万円を差し押さえられた。生活ができない。こういうKさんという方からの相談でした。
今、全国的に税滞納者への給与や年金の差し押さえが急激に増えています。しかも、預金口座に入った途端に金額を差し押さえられるという例がたくさん出てきています。過去5年間の給与の差し押さえ件数について、この推移を伺います。
〇議長(田中 守議員) 駒﨑行政経営部長。
〇行政経営部長(駒﨑久志) 給与の差し押さえ件数でございますが、平成23年度が12件、24年度が14件、25年度が35件、26年度が74件、27年度は96件でございます。
〇議長(田中 守議員) 16番、秋山もえ議員。
〇16番(秋山もえ議員) 物すごい増え方ですよね。これだけ、差し押さえられるお金を持っている人が増えたということでしょうか。私はそうは実感として思いません。
平成25年度からかなり差し押さえの額が増加しています。これはなぜでしょうか。また、この差し押さえは預金通帳の口座に入った給与を差し押さえたものかどうか、伺います。
〇議長(田中 守議員) 駒﨑行政経営部長。
〇行政経営部長(駒﨑久志) ご指摘のとおり件数は増加しておりますが、これは滞納の長期化を避け、早期解決を図る目的から催告等を積極的に行った結果と考えております。また、この差し押さえは、勤務先から支給される給与そのものに対して行うものでございます。
〇議長(田中 守議員) 16番、秋山もえ議員。
〇16番(秋山もえ議員) 何回も何回も催促出して、それで差し押さえたよということでしたよね。物すごくクールにてきぱきとやっているのだなというふうに私は印象として受けました。今回の今言った給与の差し押さえというのは、口座に入ったものではなくて、会社に通知を出し、現物として現金を差し押さえた。口座に入ったものは入っていないということですよね。口座に入った給与の差し押さえではないということでしたね。
私に相談の電話をくれたKさんというのは、給与が預金口座に入ったその日に差し押さえられております。会社への連絡があったものではありません。口座の差し押さえがありました。すぐにKさんは納税課へ、差し押さえの解除のお願いに行ったと。そうしたら、もうこの差し押さえのお金は市の口座に入ってしまっているので、無理ですと言われたということなのです。このお金がないと生活ができない、私はどうやって生活していけばいいのですか、職員にこう聞いたそうです。それは自分で考えて、私は知りませんと。生活できないならば隣の生活支援課のくらしサポートに行ったらどうですか、こう言われたそうてず。Kさんは生活支援課へ行ったとのことです。しかしながら、差し押さえですっかりお金がなくなったKさんへの支援メニューは一つもなかったというのです。納税課から、生活困窮者自立支援事業、くらしサポートに相談をつないだ件数について伺います。
〇議長(田中 守議員) 駒﨑行政経営部長。
〇行政経営部長(駒﨑久志) 納税相談の中でご相談があった場合には、くらしサポートへご案内してございます。ただし、その件数につきましては、記録していないため、不明ということでございます。
〇議長(田中 守議員) 16番、秋山もえ議員。
〇16番(秋山もえ議員) 記録はないと。その時々の職員が、その職員の判断で促しているということでした。生活困窮者自立支援事業、くらしサポート、どんな支援メニューがあるのか、伺います。
〇議長(田中 守議員) 本橋健康福祉部長。
〇健康福祉部長(本橋宜臣) 生活困窮者の支援につきましては、平成27年4月から生活支援課にくらしサポート相談窓口を開設し、資格を持った職員を中心に対応しています。内容といたしましては、市が必ず実施しなければならない必須事業として、生活困窮者からの自立に関する相談に応じ、就労等を支援していく自立相談支援事業、離職により住宅を失うおそれのある世帯等に家賃相当額を支給する住宅確保給付金の支給を行っております。また、任意事業といたしまして、生活困窮者の中学生、高校生を対象とした学習支援事業を実施しております。
〇議長(田中 守議員) 16番、秋山もえ議員。
〇16番(秋山もえ議員) 今回のKさんの例のように、差し押さえにより現金がなくなってしまった、すっからかんになってしまった、こういう方への貸し付けを含む経済的な支援はあるのか、伺います。
〇議長(田中 守議員) 本橋健康福祉部長。
〇健康福祉部長(本橋宜臣) 一定の収入があるが、差し押さえ等による預貯金がなく、生活に不安を感じる方への経済的支援はございません。
〇議長(田中 守議員) 16番、秋山もえ議員。
〇16番(秋山もえ議員) ないのですよね。なぜ納税課の職員がくらしサポートに行ったらどうですかと言ったのか、本当に分かりません、私は。結局、納税課で生活ができなくなるほど差し押さえられた方に支援をするメニューは皆無だということなのです。だからこそ、私は納税課には慎重に対応していただきたいのです。Kさんのように給与のほぼ全額が差し押さえられるようなことが上尾市で当たり前のこととしてまかり通っているとするならば、市役所が生活困窮者を生み出している。多重債務者をつくることになりかねません。給与や年金など差し押さえに制限がある財産、あるいは差し押さえ禁止財産が預金通帳の口座に入った場合、これについて差し押さえることはできないというふうに考えますが、いかがでしょうか。
〇議長(田中 守議員) 駒﨑行政経営部長。
〇行政経営部長(駒﨑久志) 平成10年2月10日の最高裁判決で、年金等については銀行口座への振り込みにより一般財産となり、差し押さえ禁止財産としての属性を失うとの判断が示され、差し押さえは可能とされているところでございます。
〇議長(田中 守議員) 16番、秋山もえ議員。
〇16番(秋山もえ議員) 差し押さえは可能だと。上尾市と同様にこの判例を根拠にして、今全国の自治体で、預金口座に振り込まれた給与や年金を差し押さえる例が相次いでいます。差し押さえに制限がある財産でも、差し押さえ禁止財産でも、預金に入れば預金、差し押さえができる。法律が差し押さえ禁止財産として市民の生活や事業を守る意味が失われてしまっています。法律はこのような差し押さえを許してはいません。
この平成10年の最高裁判決の論理を明確に否定をしたのが、平成25年の鳥取県児童手当差し押さえ事件の判決です。この事件は、児童手当が入金された預金口座を鳥取県が差し押さえたという事案でした。鳥取県も、差し押さえ禁止債権である児童手当でも、預金口座に入った後は差し押さえが可能になるというふうに主張しました。この問題について裁判所は、自治体側が依拠する平成10年の最高裁判決も踏まえた上で、児童手当は預金に入った後でも児童手当としての属性を失っていなかった、差し押さえ処分は実質的に本件児童手当を受ける権利自体を差し押さえたのと変わりがないと認められるから、児童手当法15条の差し押さえ禁止の趣旨に反するものとして違法であると明言をし、鳥取県に対し児童手当の返還を明示ました。つまり児童手当は預金になった後も差し押さえ禁止であるということです。常識的に考えれば分かることです。
職員の相談者に対する不適切な発言をした場合、改善のための指導はどのように行っているのか、伺います。
〇行政経営部長(駒﨑久志) 職員の接遇につきましては、市の実施する研修や課内研修などにおいて向上に努めておりますが、今後も継続的に行ってまいります。
〇議長(田中 守議員) 時間です。
〇16番(秋山もえ議員) 職員の人権侵害ともとれる言動は決して許されることではありません。そして、しっかりと研修を行ってください。そして、何よりも行き過ぎた差し押さえ、給与や年金の違法な差し押さえは決して行わないよう強く求め、一般質問を終わります。
〇議長(田中 守議員) 以上で16番、秋山もえ議員の一般質問を終わります。
暫時休憩いたします。